録画しておいた、風立ちぬ、を見終わった。なんだよ、全然いいじゃないか。
いい作品だった。
「今の自分が観るなら」という前提でいけば、ジブリ中で1位かもしれないし、ラピュタを「殿堂入り」に追い出せば、歴代衝撃を受けたジブリでも第1位でいけるかもしれない。
地上波の録画で見て、つまりもう録画があるわけだけど、これならお金を払ってもよかったな。
毎回、毀誉褒貶すごく出るから、つい「新作に駆けつける」というのには二の足を踏んでしまうわけだけども。
主人公の声、考。
私はいいと思った。
いや、立花さんと1・2を争う“棒”であることは確かなんだよ。「もうちょっと、なんとかならんかったのか」ってセリフや場面はいくつもある。でも、それでしか与えられない安心感みたいなものがある。
例えば、サブキャラに黒川さんという人が後半出てくる。主人公の上司みたいになる人で、理論的で優秀で、熱心だ。低身長と変な髪型が程よく可愛げになってる。
仮に、その人が、関東大震災の被災後の場面にいたとする。テキパキと合理的な判断を下し、人に指示を与え、自分も精力的に動く。それは、正しいんだけど、心が衝撃を受けて落ち込み、でも緊張感はいまだ抜けない、という場面では、精神的には救いとなりえないんだよね。
ぼーっとして見える。
一緒にいる人が、ぼーっとしてくれている。
私が今、打ちひしがれていることも、それはそれで、問題ない。
そんなことだけが救いに感じられる局面が人生にはある。
やあまあ、ヤンウェンリーが生きていたら、その声でなら聞いてみたかったかもしれない。
好きなジブリ作品ランキング
さて「風立ちぬ」が1位2位を争える、として、3・4位を争うであろうのがトトロです。
子供の頃は、トトロの価値があまりわからなかったけど、大人になるとあの疲れなさは大きいよなー。
そして、結構ポニョが好きだ。
そこに、耳をすませば、アリエッテイ、マーニーが絡んでくる感じ。マーニーはまだ観てないけど、原作が好きなので期待感は高いです。
作劇とか主題とか
作劇的には、本庄や加代さんやなどの相棒役の人の配置がすごくよかった。「矛盾だ」のシーンや、別れのシーンなんて、最高。
うまく正論を提示して、主人公達の立ち位置をくっきりさせてくれた。
そして、言葉が少ない、というか、『弁が多いことをよしとしない』主人公達の経たであろう葛藤を、ちゃんと描きだす助けにもなっていた。
人物造形としても、なかなかいい奴らであった。
主題は考えない
私は宮崎アニメを見るときは、「テーマなんてない」と思いながら見る派です。少なくとも「主義主張」はないのだと。
世の中「こう変えるべし!」みたいな設計図はない。そういうアジテーションは背景に沈んでいる。(直接的な意味でも、比喩的な意味でも)
そうではなくて、テーマは「生き様」みたいなものに純化されている。「男たるもの、女の人が泣いていたら、あと先考えずに助けなければならない」とか「困難に出会って、怯んだりくじけたりしてはならない」とか、そういう形に。
だから、そこに専念して観ればいい。
そう考えながら見る方が、深いレベルで作品と感応できる気がするわけです。
後記
最初は、連続ツイートくらいで済ませようかと思ったけど、以前どこかで「連ツイするくらいだったらブログにしろ」っていう警句を見かけていた気がするので、思い返してまとめてみた。
地上波放送すら終わってから感想記事を書くことに何のニーズがあるのか、という葛藤もある。だけど、その心理的バリアをはずしていくこと自体に意味があるかもしれない。
長期的に見て、私にとって。
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